消化器P155~ 消化器消化器 解説28 口蹄疫 原因はピコルナウイルス科に属する口蹄疫ウイルスで、牛・豚・羊・山羊などの偶蹄類が感染する伝染性の強い疾病である。臨床的には3~8日の潜伏期の後、鼻端・口唇・舌・趾間・乳頭などに水疱が形成され、やがてこの部の上皮が剥脱してびらんとなり、2~3週間で治癒に向かう。剖検では皮膚や粘膜の水疱・第一胃の出血やびらん・腸の点状出血・脾臓の腫大・肺水腫などが見られる。組織学的には、皮膚や粘膜のウイルス感染によって上皮細胞は風船様に腫大し、細胞質が好酸性となって壊死に陥る。また、幼若動物では心筋変性により虎斑心を呈する。 *丘疹性口炎:ポックスウイルス感染症。上皮細胞が水腫変性する。 ・ 羊の伝染性膿疱性皮炎 空胞変性に陥った上皮細胞の細胞内に、弱好塩基性~弱好酸性の封入体形成。 解説29 牛疫 パラミクソウイルスに属する牛疫ウイルスによる、致命率の高い伝染病。発熱、下痢、泡沫状の流涎、皮膚の結節状湿疹などを呈する。病理的には口腔・胃腸・膀胱粘膜の壊死・びらん・潰瘍形成やリンパ濾胞の壊死、粘膜上皮・多核巨細胞に細胞質・核内封入体形成。 解説30 悪性カタル熱 反芻動物の全身性感染症で、アフリカ型と羊型がある。臨床的には発熱、角膜炎、口腔粘膜のびらん・潰瘍、血様下痢が見られ、病理的には上部部気道に偽膜性潰瘍、リンパ球浸潤を伴う線維素性壊死性血管炎が特徴。 ○ 胃 胃粘膜が上皮層直下まで欠損した場合(糜爛)という。(筋板まで至らない欠損) 粘膜下織深層まで欠損した場合は(潰瘍)という。 (筋板に至る欠損) その場合,胃液作用が重要であるため潰瘍は一般的に(消化性胃潰瘍)として一括される。 この時生体反応としては,偽膜形成が見られる。 ・ 豚の胃潰瘍(パラケラトーシス)は胃食道部に病変を起こし、これは角化症となる。 原因はビタミンAの欠乏やストレスなどである。病理的には角化亢進を特徴とし、これが剥離して潰瘍を起こし、出血により貧血を呈する。 解説32 創傷性第二胃炎(心嚢炎) 牛は人が飼育環境に落とした金属製異物を呑み込みやすく、釘や針金などの鋭く尖った物はよく第二胃の壁を貫通して創傷性第二胃炎と腹膜炎を起こす。また、貫通した釘の大多数は腹部前方向に移動し、横隔膜を通り抜けて心膜・心筋に達するとともに、胃内容物やそれに付いた細菌を持ち込んで創傷性心嚢炎を引き起こす。異物とともに心嚢に到達する化膿菌が局所に線維素性・化膿性炎を起こし、絨毛心と呼ばれる。 ○ 腸 ・ 局所防衛機構が発達:粘膜関連リンパ組織(MALT)にIgAを分泌する形質細胞が分布。 *腸炎 基本形態:炎症性充血、陰窩上皮の分泌亢進、粘液・白血球・剥離上皮などのカタル性滲出 カタル性腸炎 :豚の伝染性胃腸炎など 出血性腸炎 :腸内毒素血症、犬のパルボウイルス感染症、炭疽、豚赤痢など 線維素性腸炎 :偽膜形成(豚コレラ、牛ウイルス性下痢粘膜病) 線維素壊死性腸炎:豚コレラ 化膿性腸炎 :子馬のロドコッカス・エクイ感染症 特異性腸炎(肉芽腫性):腸結核症、ヨーネ病 解説33 豚伝染性胃腸炎(TGE) コロナウイルス属のTGEウイルスに起因する急性伝染病で、世界中で発生がある。TGEウイルスは全ての年齢の豚に感染し、生後2週間までの哺乳豚で脱水による死亡が著しく高いが、成豚では症状は軽度である。症状としては特徴のない新生子豚の下痢で、剖検では腸壁は弛緩・菲薄化し透明感を呈す。腸内容は黄白色ないし泡沫状で、胃内容と同様に凝固した未消化のミルクを含むことがある。組織学的には、空腸・回腸において絨毛の萎縮が見られる。 *牛ウイルス性下痢・粘膜病(BVD-MD):キャリア牛の病原性BVD感染による重度の粘膜病。 胃から腸に至るびらん・潰瘍。パイエル氏板・粘膜の壊死。 * 豚コレラ:消化管では一般に回盲結腸に見られる線維素性壊死性腸炎(偽膜性腸炎) 急性-カタル性,出血性腸炎 慢性-回腸のパイエル板でボタン状潰瘍を形成(貧血性梗塞) *馬のロドコッカス・エクイ感染症:病理組織学的に化膿性腸炎であるが、滲出細胞は好中球、MФ。 *ヨーネ病(パラ結核):回腸に好発し、菌はパイエル氏板ドームのM細胞から侵入する。類上皮細胞、巨細胞がびまん性に増殖し、肉芽腫の形成も見られる。粘膜肥厚を呈し、肉眼的にわらじ様潰瘍または大脳回様雛壁と形容される。 *馬の線虫症:普通円虫寄生 ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|